筋力トレーニングにおいて、その目的別(筋力向上・筋肥大)に適切な挙上動作速度について解説します。
まずは、筋繊維の種類と特徴について解説します。
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筋繊維の種類と特徴
筋トレの対象となる骨格筋は筋繊維から構成されており、その筋繊維には主に三種類があります。そして、それらはそれぞれ異なる収縮特性を持っており、トレーニング目的に合わせてターゲットにする筋繊維を考慮する必要があります。
遅筋(遅筋繊維Ⅰ)
持久的な(持続的な)収縮の主体となる筋繊維で、筋トレによってあまり筋肥大しない特性を持ちます。このため、ダイエット系トレーニングで対象となる筋繊維です。
筋力トレーニングでは20回以上の反復回数で限界が来る、軽めの重さ(低負荷設定)でセットを実施します。
速筋(速筋繊維Ⅱa)
持久要素もある瞬発的収縮の主体となる筋繊維で、筋トレによって中程度に筋肥大する特性を持ちます。このため、ボディメイク系トレーニングで対象となる筋繊維です。
筋力トレーニングでは12~15回の反復回数で限界が来る、やや重めの重量(中負荷設定)でセットを実施します。
速筋(速筋繊維Ⅱb)
瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。
筋力トレーニングでは6~10回の反復回数で限界が来る、かなり重めの重量(高負荷設定)でセットを実施します。
厚生労働省による筋繊維に関する記載
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-026.html
筋力向上には6レップセット・筋肥大には10~15レップセット
以上のことから、筋力向上には速筋繊維Ⅱbをターゲットにした瞬発的な挙上動作(高負荷低レップ)、筋肥大には速筋繊維Ⅱa~速筋繊維Ⅱbを広くターゲットにした比較的ゆっくりとした挙上動作(中負荷中レップ)が適正であると言えます。
筋力向上とコンセントリック収縮
筋力向上目的のトレーニングにおける「速度の速い挙上動作」は、筋肉が収縮する方向に力を加える収縮動作で、コンセントリック収縮(短縮性収縮)と呼ばれています。ウエイトトレーニングにおいては軽視されがちなコンセントリック収縮ですが、実はさまざまなメリットがあります。
▼参照記事
スロートレーニングの有効性
筋肥大トレーニングにおいては、比較的挙上動作速度の遅い「スロートレーニング」が有効ですが、このことは厚生労働省の公式見解としても言及・記載されています。
厚生労働省によるスロートレーニングに関する記載
スロートレーニングとは、筋肉の発揮張力を維持しながらゆっくりと動作するレジスタンス運動のひとつの方法です。 比較的軽めの負荷であっても、ゆっくりと動作することで大きな筋肥大・筋力増強効果を得ることができます。 関節や筋肉にかかる負荷が小さいことから、安全に行える効果的なレジスタンス運動として期待されています。
また、スロートレーニングに関して、Wikipediaでは以下のように記載されています。
スロートレーニングはウエイトトレーニング方法の一種。「スロトレ」とも呼ばれる。ゆっくりとした動作で筋肉に負荷をかける。例えば5kgのダンベルを2秒で上げ、10秒かけながらゆっくり下ろすなどの動作になる。
スロートレーニングは最初に遅筋を動員し、次いで中間筋、そして速筋のパワーを引き出す動作になっている。つまりこの動作によりすべての筋肉をバランスよく鍛えることができる。素早い動作のウエイトでは速筋のみが鍛えられるが他の筋肉の鍛錬が十分になされないため動作が逆に鈍くなることがある。
ネガティブ動作について
筋肥大目的のウエイトトレーニングにおいて重要視されているのが、ウエイト負荷に耐えながらゆっくりと元に戻る動作=ネガティブトレーニングです。
このように、筋繊維の収縮を保ちながら、その収縮方向と逆に負荷をかける収縮方法をエキセントリック収縮(伸張性収縮)と言います。
エキセントリック収縮は経験則として筋肉痛を引き起こすことが知られており、このことからボディメイクやボディビルディングのトレーニングでは盛んに行われています。
▼参照記事
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