個人的な事情だけでなく、社会的事案などによりジムに行けない時の代替えトレーニングとしての「ジムに行かずに自宅で行える筋力トレーニングメニュー」について解説します。
なお、本記事では「自宅で器具なし」で行える自重トレーニングと「自宅の机や椅子を流用」して行える自重トレーニングのメニューを解説していきます。
目次
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全身の筋肉の部位分け
全身の筋肉は、協働関係から以下のように部位分けするのが一般的です。
上半身の押す動作の筋肉
大胸筋:上腕を前方に押し出し閉じる
三角筋:上腕を上・前・横・後ろに上げる
上腕三頭筋:肘関節を伸展させる
上半身の引く動作の筋肉
僧帽筋:肩甲骨を引き寄せる
広背筋:上腕を上・前から引き寄せる
上腕二頭筋:肘関節を屈曲させる
前腕屈筋群:手首関節を屈曲させる
脊柱起立筋:体幹を伸展させる
体幹の筋肉(腹筋群)
腹直筋:体幹を屈曲させる
腹斜筋:体幹を回旋させる
腹横筋:腹圧の維持
下半身の筋
下半身の押す動作の筋肉
腸腰筋群:股関節を屈曲させる
大腿四頭筋:肘関節を伸展させる
下腿三頭筋:足首関節を伸展させる
下半身の引く動作の筋肉
臀筋群:股関節を伸展させる
ハムストリングス:膝関節を屈曲させる
内転筋群:大腿を内転させる
上半身の押す筋肉の自宅自重筋トレ
腕立て伏せ
いわゆる腕立て伏せ(ノーマルプッシュアップ)は、大胸筋全体を中心として、二次的に三角筋や上腕三頭筋にも負荷がかかります。
重要な動作ポイントとして、①肩甲骨を寄せたままセットを行う、②背すじを伸ばす、③上半身を押し上げた位置で顎を軽く引いて大胸筋を強く収縮させる、の三点があげられます。
ディップス
ディップスは体幹を垂直方向に構えて行う腕立て伏せ系の自重トレーニングの一種で、特に大胸筋下部と上腕三頭筋に対して強い負荷が加わります。
肩関節に負担をかけないために、肩甲骨を寄せたままセットを行うことが大切です。
自宅で行う場合、椅子を二つ並べて間に入り、背もたれの上部に手をついて行うことができます。
パイクプッシュアップ
パイクプッシュアップは、大きく腰を曲げて構えることにより、体幹に対して上方に腕を押し出す軌道で行う腕立て伏せのバリエーションです。
この軌道により、通常の腕立て伏せに比べて三角筋に対して負荷を集中させることが可能になります。
なお、肩関節に負担をかけないために、肘を体幹後ろ側に突出させないように留意して行ってください。
ベンチディップス
逆腕立て伏せ(ベンチディップス)は、背面側に手をついて構えることで、上腕三頭筋に負荷を集中させられる腕立て伏せ系の自重トレーニングです。
足を台に乗せて構えることで、さらに負荷を高めることができます。
なお、自宅で行う場合、椅子を二つ使って片側に手をつき、片側に足を乗せて行うことが可能です。
上半身の引く筋肉の自宅自重筋トレ
斜め懸垂(インバーテッドロー)
斜め懸垂は広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋など上半身の引く動作の筋肉全体に有効な種目です。
本種目は、胸をバーにつけにいくイメージで身体を引き寄せ、肩甲骨を寄せきって背筋群を完全収縮させるように動作することがポイントです。
なお、自宅で行う場合、テーブル(机)などの下に入って仰向けになり、テーブルの縁をグリップして実施することができます。
バックエクステンション
バックエクステンションは脊柱起立筋に有効な種目です。
本種目、床にうつ伏せになり上体起こしを行うトレーニングです。腕自体の重量がウエイト負荷として作用するため、腕を前方に伸ばすと負荷が強くなり、横にしたり胸で組むと負荷が軽くなります。
体幹(腹筋群)の筋肉の自宅自重筋トレ
カールアップクランチ
カールアップクランチは腰椎への負担の少ない腹筋運動で、膝を立てて行うことが特徴です。腹直筋上部に有効です。
身体を伸ばしたポイントで腰を反らせて反動を使うと、腰椎に強い負担となりますで十分に気をつけて動作を行ってください。
レッグレイズ
レッグレイズ(足上げ腹筋)は、腹直筋下部に集中的な負荷が加わる腹筋運動です。足を上げる角度は45度程度で十分で、それ以上高く上げる必要はありません。また、セット中に足を床につけてしまうと腹筋群に対する負荷が抜けてしまいますので、セット中は足を床につけないようにします。
足を下ろした位置で、腰を反らせて反動を使うと腰椎に強い負担がかかってしまいますので十分に注意してください。
クランチツイスト
クランチツイストは通常のクランチに捻り動作を加えることで、腹斜筋に負荷がかかる腹筋運動バリエーションです。足を組んで構え、対角線になるひじと膝をつけるように動作してください。
下半身の筋肉の自宅自重筋トレ
スクワット
スクワットは下半身の筋肉全体に有効な、下半身トレーニングの基礎となる種目です。
スクワット系運動全てに言えることですが、もっとも大切な動作ポイントは「膝をつま先よりも前に出さない」ということで、これは膝関節・靭帯に過負荷がかからないようにするために非常に重要なことです。
膝がつま先を越えるまでは筋力で体重を支えていますが、膝がつま先よりも前に出た時点で体重は膝の靭帯の張力で支えてしまう状態になります。十分に留意してください。
また、スクワット系運動においては膝の向きとつま先の向きを揃えることも大切で、この向きが揃っていないと膝関節に「ねじれ負荷」がかかってしまうので注意が必要です。
効果的に筋肉に負荷をかけるためのポイントとしては、背すじを伸ばす(背中を丸めない)ことが重要で、これは背すじを伸ばす意識だけでなく、目線を上に向けてセットを行うことで大幅に改善されます。
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワット(ワンレッグスクワット)は、下半身後ろ側に負荷をかけられるスクワットのバリエーションで、特に後ろに置いた脚を主働にして動作を行うことで、ハムストリングスや臀筋群に有効です。
ワイドスクワット
ワイドスクワットは内転筋群に有効なスクワットバリエーションです。
は大きく足幅を開いて行うスクワットです。足はやや外向きに開き、つま先の方向と膝の向きを揃えます。通常のスクワットと違い、斜め後方ではなく下方に腰を下ろし、太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに立ち上がります。
特に注意したいポイントが、膝の向きとつま先の向きを揃えることで、これができておらず股関節が外旋(外股状態)または内旋(内股状態)で行うと、股関節のみならず膝関節にも負担となりますので注意が必要です。
超回復理論と筋肉部位ごとの回復期間
筋力トレーニングを行い筋繊維に負荷をかけると、筋繊維はわずかな裂傷を負い、一定の回復期間の後にトレーニング前よりも強く・太くなって回復します。この生体反応を「超回復」と呼び、筋力トレーニングとは、計画的に超回復を繰り返すことにより筋肉を強くしていく行為です。
このため、筋肉に対してレジスタンス負荷をかける頻度・間隔には十分に留意してトレーニングプログラムを組み立てる必要があります。
骨格筋の超回復期間には、それぞれ固有の回復時間があり、それは年齢や性別によって左右されますが、20~30代男性の場合、おおよそ以下のようになります。
筋肉部位ごとの超回復期間
・大胸筋:48時間
・三角筋:48時間
・上腕三頭筋:48時間
・僧帽筋:48時間
・広背筋:72時間
・上腕二頭筋:48時間
・腹筋群:24時間
・脊柱起立筋:72時間
・大臀筋:48時間
・大腿四頭筋:72時間
・ハムストリングス:72時間
・前腕筋群:24時間
・下腿三頭筋:24時間
なお、加齢とともに超回復期間は最大2倍程度まで長くなります。また、女性は男性に比べると筋肉合成に関わるホルモン分泌量が少ないため、男性よりも超回復期間が長くなる傾向にあります。
▼詳細記事
超回復前に筋力トレーニングを実施すると
筋力トレーニングによって筋繊維が破壊され、超回復がなされないままトレーニングを実施すると、筋繊維はさらに壊され、これを慢性的に繰り返していくと筋肉は発達するどころか縮小傾向に陥ってしまいます。
超回復が完了したか否かのおおよその目安は「筋肉痛が残っているかどうか」で判断できますので、筋肉痛が残る部位には負荷をかけないようにすることが必要です。
このような、超回復理論にのっとり、なおかつ効率的に全身をトレーニングしていくためには、全身の筋肉を連動性によっていくつかのグループに分け、ローテーションで鍛えていく「部位分割法|スプリットトレーニング」が最適です。
部位分割トレーニング
筋力トレーニングの効率を上げるためには、一度に全身の筋肉全てを鍛えるのではなく、筋肉部位を2~4グループに分け、1日に1グループずつ一週間で2~4回の分割トレーニングを行うことが有効です。
週2回のトレーニングの場合
①上半身・下半身の押す動作の筋肉
②上半身・下半身の引く動作の筋肉
具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。
▼具体的な週2回トレーニングメニュー
週3回のトレーニングの場合
①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉
具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。
▼具体的な週3回トレーニングメニュー
週4回のトレーニングの場合
①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の押す動作の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉
④下半身の引く動作の筋肉
具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。
▼具体的な週4回トレーニングメニュー
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