筋力トレーニング時の一般的な呼吸方法について解説するとともに、競技でのウエイト挙上時によく使われる呼吸方法についても解説します。
なお、生物学上の呼吸には「細胞呼吸」と「外呼吸」とがありますが、本記事は「外呼吸」についての記載です。
外呼吸:空気と血液とのガス交換。多細胞生物体が外界から酸素を取り入れ、体内で消費して二酸化炭素 (CO2) を放出すること。
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一般的な筋力トレーニングにおける呼吸
怒責を避けるため呼吸は止めない
筋力トレーニングにおいて息を止めて力を入れる、いわゆる「いきむ行為」=「怒責(どせき)」は、かなり少ないケースながら健康リスクをともなう場合があることも知られており、健康作りやダイエット目的などの一般的な筋力トレーニングでは息を止めるべきではありません。
脳動脈瘤を持つ人において、運動、怒責、興奮などによって脳への血圧が上昇すると動脈瘤の一部が破れて出血を起こす。
引用:Wikipediaより
また、ダイエットトレーニングでは、インターバルを短くとり、呼吸を長く深い腹式呼吸で行いながら動作することで、無酸素運動である筋力トレーニングに有酸素運動の要素を加味することも可能です。
筋肉は、息を吸う時に弛緩し、息を吐く時に収縮しやすい特性があります。ですので、息を吐きながらウエイトを挙上し、息を吸いながら元に戻るのが一般的な呼吸方法になります。
なお、腹式呼吸を意識する場合は、鼻から息を吸って口から息を吐くようにします。
厚生労働省による運動と呼吸に関する記載
負荷の比較的軽い(運動強度の小さい)運動は、筋肉を動かすエネルギーとして血糖や脂肪が酸素と一緒に使われることからエアロビクス(有酸素性運動)と呼ばれます。一方、短距離走のように短時間で強い負荷がかかる(運動強度の大きい)運動の場合は、筋肉を動かすエネルギー源として酸素が使われないため無酸素性運動と呼ばれます。運動中に呼吸をしているかどうかという意味ではありません。
引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-072.html
サーキットトレーニング
筋力トレーニングに有酸素運動の要素を加えたトレーニング方法が、短いインターバルで全身をローテーションしながらトレーニングしていくサーキットトレーニングです。
具体的なサーキットトレーニングメニューの組み方例は下記の記事で詳しく解説しています。
競技での呼吸方法
ベンチプレス競技では、胸郭の高さを利用するために、競技選手一般的な呼吸方法とは違った呼吸を行います。
ベンチプレスにおいては、できるだけ胸郭を膨らませた状態にして胸の高さを出すことで、挙上距離が短くなり、これにより競技的に有利になります。
このため、ベンチプレス競技選手はセットアップ後に大きく息を吸って胸にため、息を止めたままバーベルラックアウトから挙上までを行います。
また、胸にためる空気の量を増やす目的でハイパーベンチレーション呼吸法を行うことも少なくありません。
▼ハイパーベンチレーションとは
バルサルバ(ヴァルサルヴァ)法
ベンチプレスだけでなく、ウエイト挙上競技ではヴァルサルヴァ法と呼ばれる最大筋力を高める呼吸方法が実践されることも少なくありません。
ヴァルサルヴァ法とは、いきむ動作で呼吸が止まり、筋緊張が起こることで普段より筋力が発揮できる生理的な現象。イタリアの解剖学者、アントニオ・マリア・ヴァルサルヴァ, 1666 – 1723 が使ったことから名付けられた。ヴァルサルヴァ手技とも呼ばれる。
▼バルサルバ法の詳細
また、トレーニング筋肉部位別の呼吸方法(競技向け)は下記の記事をご参照ください。
▼押す動作・引く動作別の呼吸方法
呼吸を利用した胸郭トレーニング
ボディビルディング競技やボディメイクトレーニングでは、大胸筋の土台となる胸郭を拡張するための胸郭トレーニングが実施されます。この胸郭トレーニングは、息が上がるスクワットなどの直後に、胸に息をためたままプルオーバー系種目を行いますので、呼吸を利用したトレーニング方法とも言えるでしょう。
特に10代後半から20代前半の若い年齢層においては、10cm前後も胸囲が増したという事例も知られています。
▼胸郭トレーニングのやり方
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