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【デッドリフトのやり方とフォーム】種類別に効果的なセットメニューを元全日本王者が解説

デッドリフトの挙上重量向上のために効果的なやり方・フォームおよびセットメニューの組み方を、スモウスタイル・ヨーロピアンスタイルの種類別に、パワーリフティング元全日本王者の奥谷元哉さまに客員執筆いただきました。

なお、本記事ではベンチプレス100kg挙上にならぶ、ビッグ3の壁でもあるデッドリフト200kg挙上を目標とする方をメインの対象として解説いただいています。

また、あわせて背筋トレーニングとしてのデッドリフトに関する基本情報もご紹介します。

■デッドリフトが効果のある筋肉部位

●広背筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止


読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜

●僧帽筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止


読みかた:そうぼうきん
英語名称:trapezius muscle
部位詳細:上部中部下部
起始:後頭骨上項線・外後頭隆起・頚椎棘突起第7頚椎・第1~3胸椎棘突起第4~12胸椎棘突起
停止:肩甲棘・肩峰

●長背筋群・脊柱起立筋の英語名称・構造・部位詳細


読みかた:せきちゅうきりつきん
英語名称:erector spinae muscle
部位詳細:腸肋筋最長筋棘筋
長背筋群=脊柱起立筋+多裂筋+回旋筋など

●上腕二頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止


読みかた:じょうわんにとうきん
英語名称:biceps
部位詳細:長頭短頭
起始:肩甲骨関節上結節肩甲骨烏口突起先端
停止:橈骨粗面

デッドリフトは背筋のなかでも僧帽筋と広背筋中央部に高い効果があります。このほかに、脊柱沿いのインナーマッスルである長背筋群(最長筋・多裂筋・脊柱起立筋など)や腕の前面の筋肉である上腕二頭筋にも効果があります。

また、デッドリフトは上半身だけでなく、下半身も大きく連動させて行う種目であるため、大腿四頭筋・ハムストリングス(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋)・臀筋群・下腿三頭筋など、下半身ほぼ全ての筋肉にも効果的です。

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■デッドリフトの基本姿勢と用語

●大腿四頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止


読みかた:だいたいしとうきん
英語名称:quadriceps
部位詳細:大腿直筋外側広筋内側広筋中間広筋
起始:腸骨下前腸骨棘・寛骨臼上縁大腿骨大転子外側面・転子間線・殿筋粗面大腿骨粗線内側唇大腿骨前外側面
停止:膝蓋骨上縁・脛骨粗面膝蓋骨上外側縁・頸骨粗面膝蓋骨上内側縁・脛骨結節膝蓋骨・頸骨粗面

●ハムストリングスの英語名称・構造・部位詳細・起始停止


読みかた:はむすとりんぐす
英語名称:hamstrings
部位詳細:大腿二頭筋長頭大腿二頭筋短頭半膜様筋半腱様筋
起始:坐骨結節大腿骨粗線外側唇・外側筋間中隔坐骨結節坐骨結節内側面
停止:腓骨頭腓骨頭脛骨内側顆・斜膝窩靭帯脛骨粗面内側

●臀筋群の英語名称・構造・部位詳細・起始停止


読みかた:でんきんぐん
英語名称:gluteus muscles
部位詳細:大臀筋中臀筋|小臀筋
起始:腸骨稜・腸骨翼腸骨翼殿筋面・腸骨稜腸骨翼
停止:大腿筋膜外側部・大腿骨粗面大腿骨大転子尖端大腿骨大転子前面

●下腿三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止


読みかた:かたいさんとうきん
英語名称:triceps muscle of calf
部位詳細:腓腹筋外側頭腓腹筋内側頭ヒラメ筋
起始:大腿骨外側上顆大腿骨内側上顆腓骨頭・脛骨後面
停止:踵骨隆起踵骨隆起踵骨隆起

こちらの画像は、一般的に正しいとされるデッドリフトのフォームです。そのポイントとそれぞれを表す用語は以下の通りになります。

・胸を張り背中(背骨)がまっすぐな状態=ニュートラルスパイン

・お尻を突き出し膝より前につま先がある状態=ヒップヒンジ

・顎を上げ肩甲骨を引き寄せた状態=スラック

なお、こちらがデッドリフトの悪い例と良い例を比較した模式図です。右がニュートラルスパイン・ヒップヒンジ・スラックがとれた状態です。

【奥谷元哉さま執筆ここから】

■デッドリフトの基本フォーム

●デッドリフトのフォームは大きく二種類

デッドリフトのフォームは大きく、ナローデッドリフトとワイドデッドリフト(スモウスタイルデッドリフト)に分かれます。両脚が両腕の内側にくるフォームがナローデッドリフト、両脚が両腕の外側にくるフォームがワイドデッドリフトです。

さらに、ナローデッドリフトもワイドデッドリフトも関節の伸展具合や足の広さによっていくつかのバリエーションに分かれます。

●グリップについて

デッドリフトのグリップについては大きく3つの要素があり、それは以下の通りです。

①握り方

②握る深さ

③握る幅

①握り方

握り方については3つの方法あります。

・両方が順手(オーバーハンドサムアラウンド)

これはバーが挙げている最中に回転しやすいため非常にやりにくい握り方です。リフティングストラップでデッドリフトを行うと、必然的に両手が順手となりますので、リフティングストラップありきのグリップと言えます。

・両方が順手(オーバーハンドフックグリップ)

握る方向は順手と同じですが、親指が内側に入り、人差し指、中指、薬指と接触する握り方です。接触する指の本数はその人によって変わります。これは握るというよりは引っ掛けるという感覚に近く、肩や肩甲骨の脱力が考えられます。

しかしながら、親指に激痛が走るため数年に渡って指を鍛え込まないと使いものになりません。一般的なトレーニーは取り入れないほうが無難です。

なお、順手のフックグリップはウェイトリフティングの選手が行っており、ウェイトリフティングでは有利となるグリップです。

・オルタネイトグリップ

片方が順手(オーバーハンドサムアラウンド)、もう片方が逆手(リバースハンドサムアラウンド)で握るグリップがオルタネイトグリップです。

オルタネイトグリップは、デッドリフトを行う上で最もデメリットが少ないグリップで、初心者の方にとっては違和感があるかもしれませんが、一ヶ月もすれば慣れていきます。

フックグリップの様な痛烈な痛みもなく、バーベルの回転を抑えられますので、これからデッドリフトをやってみようという方やデッドリフトの記録を伸ばしたい方は、まずオルタネイトグリップを採用してください。

②握る深さ

握る深さについては2つの方法があり、それは、手の平で深く握り込むか、指の関節で引っ掛けるようにして握るかです。

これはその人によって合う合わないが明確にありますので自身の身体と対話をしながら決めてください。

この握りの深さについては他人のアドバイスを聞かないほうが良いです。あくまでも自分が握りやすく、出力が出しやすい握り方を探ってください。

③握る幅

握る幅については肩幅からまっすぐおろした位置が基本です。

しかし、この握り幅についても狭めか広めかでしっくりとくるポイントの調整が可能なので自身の身体と対話しながら決めてください。

ただし、握り幅に関しては、ワイドスタンスでELEIKO、LEOKO、BULLのIPF公認のバーベルシャフトを使う場合は、やや広め一択となります。

これは、これらのシャフトのローレットの刻み位置が、国内で一般的に出回っているIVANKOを手本としたバーベルよりも広い位置にあるためです。

●ニュートラルスパイン・ヒップヒンジ・スラックについて

デッドリフトのフォームで重要な項目ですが、私はスラック(バーベルシャフトの引きつけ)がこの中では最も重要でこれができれば他はできていなくても大丈夫であると考えています(極端すぎるのは良くありませんが)。

まずは物事を単純化して考えます。

【奥谷さんご本人による例】

この二枚の画像を見てください。単純にダンボールを持つときにはどちらが楽に持ち上げられるでしょうか?

もちろん下ですよね。

デッドリフトのフォーム、スラックと難しい言葉で考えると分かりにくくなりますが、要は身体に重量物を近づければ近づけるほど楽に持ち上げることができ、これがスラックの基本的な考え方と言えます。

私がこのように単純化したのは、フォームを良くしようとすると、どうしても意識する項目が多くなり、逆に動きが硬くなってしまうからです。

動きが硬くなると、結果としてスラック・ヒップヒンジ・ニュートラルスパイン全てができなくなります。

力任せの引き方もダメですが、良くしようとして逆に固まってしまうのもダメで、こういったあんばいをうまくコントロールできるのが「運動神経の良い人達」です。

では、運動神経が良くない場合はどうしたらよいでしょうか?

それは、自分の動きができていないことを素直に受け入れることです。俺はできてるとか、◯◯◯kg引けるんだというプライドを捨てないとなかなかフォームは変わりません。

さて、少し横道に反れましたがニュートラルスパイン・ヒップヒンジ・スラックを全て良い状態に持っていくには、脱力しながら身体にバーベルを引き付けることを意識しながら、正面に鏡、横に動画撮影のカメラを置き、映像の自分を受け入れて数年研究しないとなかなか改善されません。

厳しいことを書きましたが、私はスラックだけでも良いと思います。スラックができてくればヒップの位置は決まってきます。競技の観点からはヒップの位置は高い方が良く、そうなるとニュートラルスパインではなく、若干背筋が曲がる傾向になってしまいます。

多少の曲がりは大丈夫なのですが、そこから引き始めるとさらに大きく曲がる方は根本的に直した方が怪我のリスクを下げられます。

私のフォームを参考にしてみてください。


【奥谷さんご本人】

バーベルシャフトを握る前です。ここで肩甲骨周りを動かし、リラックスさせます。肩周りが力むと良いスタートポジションが取れません。


【奥谷さんご本人】

バーベルシャフトを自分の手幅で握ります。この段階でニュートラルスパインでないといけないと教える人がいますが、それは間違いです。ニュートラルスパインにしなければいけないという強迫観念は逆に身体を固めてしまい、ニュートラルスパインから遠くなります。バーベルシャフトを握った状態でさらに肩甲骨周りを動かし固まらないように脱力します。


【奥谷さんご本人】

スタートポジションにスラックします。肩甲骨周りを完全にリラックスできていれば、バーベルシャフトを引きつけるだけでこのニュートラルスパインでヒップヒンジも入った状態が完成します。

肩甲骨周りの脱力と引きつけだけでデッドリフトの理想とされるフォームは取れます。あれこれ考えすぎると逆にこのスタートポジションにはなりません。


【奥谷さんご本人】

スタートポジションからフィニッシュポジションまで一挙動で引き上げます。フィニッシュポジションでは膝が伸び切るこが大切です。若干斜め後ろに引くことにより自然に骨盤が前に移動し、肩が返ります。

ポイントは「若干」後ろに引くことです。後ろに強く引きすぎると、バランスを崩して倒れたり、膝が曲がってしまったりします。

■デッドリフトの種類と長所短所

●スモウスタイルの長所と短所

スモウスタイルのデッドリフトの長所は何と言っても身体への負荷を分散させ、容易に高重量をあげることができる点です。

あらゆるフルレンジでのウェイトトレーニングの種目のなかで、スモウスタイルのデッドリフトが最も200kg挙上達成が早いと思われます。

スモウスタイルデッドリフトの短所はフォームがわかりにくい、引くタイミングがわかりにくい、力が入っている感じがしないという点です。

実は私は体感したことがないのですが、初心者にスモウスタイルデッドリフトを指導した時に聞く不平に近い感想がこの三点です。

そのため、どうしても初心者の方は、効率良く引けるワイドデッドリフトを敬遠し、ナローデッドリフトを好む傾向にあります。

●スモウスタイルのグリップと足幅・フォーム

足幅に関わらず、全てのデッドリフトのフォームに言える最重要の項目をあげます。

・一挙動で挙げるという意識

デッドリフトではファーストプル、セカンドプルといった二段階の挙げ方は行いません。

ファーストプルでフィニッシュの位置まで引ききります。実際には、重くなってくると粘ってしまうのですが、意識は一挙動です。

バーが通る軌道は身体のギリギリ近くをまっすぐに上げますが、これは、バーベルが身体に近くなればなるほど余計な負担がかからなくなるからです。

感覚としては、デッドリフトソックスをバーベルがなでながらまっすぐ上がるイメージになります。

あえて負荷をかけるために非効率なフォームを目指される方もいらっしゃるようですが、負荷をかけたいのであれば重量を足せば良いことです。私がなぜ非効率的なフォームに反対かは後述します。

・フィニッシュ位置を明確に決める

初心者や某動画サイトに投稿している方にありがちなのですが、どこまで引ききったら1回挙げれたとカウントするのか、あいまいな方が少なくありません。

例えば…

①100kgの重量を膝がまっすぐ伸び切って股関節付近まであげた

②110kgの重量を膝は曲がっているけど膝の上まではあげた

この2つで、どちらが優れているか判断するのは難しいことです。そのため、どこがデッドリフトフォームのゴール地点であるかを決めないと、自身が強くなったかどうか判断することができません。

最も良いのはパワーリフティングの成功試技の基準である「膝が伸び切って、肩が返った位置まで引ききったら」1回成功とカウントする方法です。

・バウンドはご法度

これも、競技者ではない一般の方に多く見られる傾向ですが、1レップ目だけ異様に粘って挙げるのですが、2レップ目以降は異様に速いスピードでレップを繰り返す挙げ方があります。

これは、地面でバウンドを使うことにより、一番苦しい引き始めをサボっているからです。

この方法の副作用は非常に大きく、見栄で高重量をレップできるため、本来その重量を扱えるレベルの筋力がないにも関わらず、無理に挙げられてしまうという点です。

その結果、ある壁までくるとさっぱり伸びなくなる、大怪我をしてしまうということが起こりやすくなります。

ですので、デッドリフトのトレーニングではバウンドはせず、一回一回必ず地面に置いてから次のレップを引き始めるようにしてください。

1レップ目が最もスピーディーに引けるようになったら「本物」です。

・スモウスタイルのデッドリフトのフォームについて

パワーリフティングの世界では、スモウスタイルデッドリフトは、足がプレートに接触するギリギリから5cmくらいまでをワイドデッドリフト、それより足幅が狭くなるフォームをミディアムデッドリフトと慣用的に表現しています。

最も効率が良いのはバーベルプレートのギリギリまで足幅を広げたワイドデッドリフトですが、足の上にバーベルを落としてしまう確率が高く、実際に台湾の超有名で300kg以上引く強豪選手が、何度も足の上に落として指を粉砕しています。

一般人では考えられないくらいの練習量をこなしている選手ですが、極限の重量では失敗をすることもあります。

このようなプロレベルの方でも悲惨なミスがありますので、少なくとも5cmくらいはバーベルと爪先のあいだの安全マージンをとってください。

5cmもあればよほど軌道が歪まない限り、足の上に落とすことはありません。

また、ワイドデッドリフトは力の入り方を覚えるまで時間がかかりますので、ワイドスタンスが初めての方は、ギリギリまで足幅を広げないミディアムスタンスでデッドリフトを行い、徐々に足幅を広げていってください。

●ルーマニアンスタイルの長所と短所

ルーマニアンスタイルのデッドリフト(ナローデッドリフト)の長所は、力が入りやすく、引いているという感覚が得られやすいことと、負荷が分散していないため脊柱起立筋を中心とした背筋群への刺激が入りやすいということです。

短所としては、脊柱起立筋周囲への負担が大きいので、腰痛の遠因となりやすいことがあげられます。

ルーマニアンスタイルのデッドリフト(ナローデッドリフト)は、高重量かつ関節の進展具合や足幅により、様々な筋肉をターゲットととして刺激を強く入れることが可能です。

ただし、高負荷ゆえに怪我のリスクが大きいことと、特定の筋肉を刺激するにはかなりのセンスと修行が必要なため玄人向きの種目です。

職人レベルになる覚悟がない方は、うかつには手を出さないほうが良いと考えます。

●ルーマニアンスタイルのグリップと足幅・フォーム

ナローデッドリフトの手幅は肩幅からまっすぐおろした位置が基本ですが、人によっては若干手幅が広くてもかまいません。足幅は必然的に手幅の内側ですので両胸の幅くらいにおちつきます。

フォームに関する注意点は、スモウスタイルデッドリフトで解説しましたが、一点追加で注意したいのが、ナローデッドリフトの方がワイドデッドリフトよりも中背部から挙がり始めるという、最も負担がかかるフォームになりやすいことです。

これはバーベルシャフトの引きつけが不十分で、とにかく引いてやるという気持ちが前にですぎているためです。

引きつけをしっかりと行い、脚から力が初動していく意識を持った上で鏡や動画撮影を行わないと、間違ったフォームはなかなか治りません。

デッドリフトでの怪我は、数年単位の大事故になりやすいので、中背部から挙がり始めるフォームの方は早期に修正することをオススメします。

■デッドリフトの挙上重量を上げるやり方・回数セット・メニュー

●デッドリフトが強くなる1セットの回数

デッドリフトの1セットの回数設定は非常にデリケートです。

これは、デッドリフトは数あるウェイトトレーニング種目のなかでも、ダントツでピークが出るのが早く、過ぎ去るのも速いことが理由になります。

1セットあたり5レップ未満の低レップはあまり行わないようにしてください(フォーム確認のための低レップは除きます)。

パワーリフターは3~6レップで回数設定をすることが多いのですが、一般トレーニーの方でしたら5~8レップの間で良いと思います。

大切なのは何回やるのかではなく、全回数、全セットをできるだけ粘らずにあげることです。

デッドリフトはスピードが落ちてくると、急にピークアウトしてしまう厄介な種目です。ピークアウトしてしまいますと、重量を10~20%ほど落として、スピードが出せる重量まで設定を下げないとなかなか伸びていきません。

●デッドリフトが強くなるセットメニューの組み方

デッドリフトをメニューに加える場合は、まずその日のトレーニングの最初に行ってください(デッドリフトがフォーム確認等でメインでない日は除きます)。

メインセットは2~5セットで、これは身体の調子と要相談です。

山ほどセットをこなしても、なかなかデッドリフトだけは思うように挙上重量が伸びません。

まず、1セット目は前回のトレーニング時と同じ重量で行い、これを難なくクリアできたらその日の設定重量で行います。

設定したセット数をこなせたら、次回予定している重量で1セットだけ行います。

とにかくスピード感をもって回数をこなすことが大切で、試合があるわけでもないのに無理に激ねばりの1発挙げをすると、ピークアウトしてしまい、挙上重量の伸びが停滞しますので注意してください。

●デッドリフト強化の具体的メニュープログラム

前述しましたが、デッドリフトのピーキングは非常にデリケートですので、特に、試合がない方は一発挙げをしない方が無難です。

欲張って低レップに挑戦せず、5~8レップをねばらずにスピーディーに行うことが大切です。

また、試合に出られる方は、以下のような方法でピーキングを行います。

なお、ピークの早さには個人差があるので、ここに書くことが絶対ではないことをご留意ください。

①5~6回でセットをスピーディーにひたすらこなす

②次回練習で3RM5セットを行う

③さらに次回練習で2RMの重量で1レップを2~3セット行う

④試合

または

①5~6回でセットをスピーディーにひたすらこなす

②次回練習で3RM5セットを行う

③さらに次回練習で3RMを2~3セット行う

④試合

いずれにせよ、重い重量を持ちすぎると、逆に弱ってしまうのがデッドリフトです。

●ベンチプレスやスクワットとの組み合わせ

デッドリフトは厄介な種目で、スクワット、ベンチプレスどちらにも影響します。

BIG3と一くくりにされますが、相互干渉が大きく、BIG3をトータルで伸ばすのは難しく、一種目が極端に伸びた時は他の種目が下がっていることが多いものです。

一週間のルーティーンで最も難しいのは、本記事を読む方が時間に制約のあるお勤めの方なのか、練習時間を確保しやすい学生なのかによっても変わります。

・基本はベンチ・デッド・スクワットで週3回

お勤めの方の場合、スクワットメインの日、ベンチプレスメインの日、デッドリフトメインの日の設定が一般的ですが、これでも週に3日は必要となるためハードルが高いかもしれません。

週三回のトレーニングが難しい場合は、スクワットメインの日かベンチプレスメインの日に、デッドリフトを第二種目として組み込むことになります。

スクワット→デッドリフトまたはベンチプレス→デッドリフトの流れです。

・デッドリフトとスクワット・ベンチの順番に注意

なお、スクワットとデッドリフトの順番は逆にすると全く挙がらなくなりますのでご注意ください。

また、ベンチプレスとデッドリフトは入れ替え可能です。

なお、同日にデッドリフトとベンチプレスを行う場合はそれほど大きく影響しませんが、デッドリフトメインの次の日にベンチプレスを行うと、ベンチプレスが全く挙がらなくなります。

これはデッドリフトによってベンチプレスで必要な背中の筋肉が疲労するためです。

・スクワットメイン→ベンチプレスメイン→デッドリフトメインのプログラム

次に、時間的制約がなく自由に練習できる方ですが、デッドリフトは週に1~2回の頻度で十分です。

なお、スクワットメインの日とデッドリフトメインの日は2~3日空けたほうがよいでしょう。

デッドリフトメインの日の次の日にベンチプレスメインの日を持ってくると、ベンチプレスが全く挙がらなくなります。

ですので、スクワットメイン→ベンチプレスメイン→デッドリフトメインのプログラムを設定します。また、トレーニング量を増やせる方は、それぞれのメインの日の第二種目にサブでもってくるとよいでしょう。

デッドリフトはベンチプレスほどエブリ効果(毎日トレーニングをすること)が得られません。

使用する筋群がスクワットとかぶっていることもあり、あまり調子に乗って毎日スクワット、デッドリフトを行うとオーバーワークや怪我につながります。

最近はSNSの発達により、トップ選手の高頻度練習を知っている方もいらっしゃると思いますが、トップ選手は生まれながらの素養があり、ケアの知識があり、訓練を重ねた結果の高頻度練習です。

しかしながら、怪我のしにくさ、壊れにくさは、どんなにお金を積んでもどんなにケアに気をつかっても超えられない、圧倒的すぎる素質の壁が存在します。

一般的な素質の方がトップ選手の真似をしますと、スクワット、デッドリフトで怪我をした場合は数年単位で満足にバーベルを挙げられなくなることもあります。

高頻度練習を否定しませんが、身体の痛みが強くなり、向いていないと判断した場合は、すぐにあきらめて低頻度に変更してください。あせって強くなろうとすると逆に遠回りをしてしまいます。

■デッドリフトと腰痛について

ここまで、全般に渡って厳しめの内容を書いてきたのが、それは、私があまり良くないフォームやトレーニング方法で長年練習してきたため、強烈な腰痛になってしまったからです。

パワーリフティングを始める前から腰痛は発生しており、そこで現在に至るまでの遠因を作ってしまったのだと反省しています。

ウェイトトレーニングをするしないに関わらず、ある程度の確率で人間は腰痛になってしまいます。ウェイトトレーニング、とりわけ挙上重量を追求したスクワットとデッドリフトは腰痛になる確率を高くしてします。

腰痛が難しいのは、軽い捻挫からヘルニアまで症状の差と対処法が大きく異なることです。

身も蓋もない話ですが、私も10年以上腰痛に苦しんでします。腰痛の症状を自己判断で解決するのは難しいため、腰痛が発生した場合はできるだけ早期に専門医を受診されることをおすすめします。

なお、腰痛の発生を遅延させる方法としましては、効率の良いワイドスタンスのフォームでデッドリフトを行う、焦って無理に重量を積まないことです。

■デッドリフトにおすすめのギア類

●パワーベルト

パワーベルトは、通常のトレーニングベルトよりも大きく腹圧を向上させるため、デッドリフトのトレーニングに向いています。

レバーアクションベルトの方が便利で使いやすいですが、身体との一体感はピン式のベルトに軍配が上がります。

ワイドスタンスのデッドリフトの方はレバーアクション、ピン式(フックバックル)のどちらでも良いですが、ナローデッドリフトの方はピン式の方が引き始めにベルトのズレが発生しにくいです。

なお、初めてパワーベルトを買われれる方は、10mm圧の方が身体へのくいこみによる痛みも少なく、扱いやすくなります。

●リストラップ

35cmのリストラップを強めに巻くと、バーベルシャフトが若干、手から離れにくくなります。もちろん、パワーリフティングの公式大会でも使えるテクニックです。

●リフティングストラップ

特にパワーリフティングの大会に出られない方であれば、リフティングストラップの使用は問題ないと考えています。リフティングストラップは握力の補助だけでなく、肩が脱力しやすくなるので、高重量を引きやすくなります。

●ハイソックス

ハイソックスはパワーリフティングの公式大会で着用が義務付けられています。

鬼デッドリフトソックスはパワーリフティング全日本チャンピオンの小早川渉氏の監修のもと、製作しました。

ハイソックスの中でもデッドリフトの動きにフォーカスしており、靴の中で滑らず力をのがしません。

また、ずれ落ち防止の機能もあるためデッドリフトの回数をこなしてもずれにくくなっており、大変使いやすいソックスです。

●液体チョーク

チョーク禁止のジムでも液体チョークであれば使用が許可される場合があります。

液体チョークは固体のチョークよりも手の平に残りやすいので、一度つけるとトレーニング終了まで長持ちします。

最近はボルダリングを中心に、松脂(ロジン)が環境を汚損するとして敬遠されています。

GRIP-液体チョークはロジンを含んでいないのでパワーリフティングにかぎらず、幅広いスポーツの滑り止め用途としてお使いいただけます。

【奥谷元哉さま執筆ここまで】

筆者プロフィールはこちら

戦績:2011年世界パワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別2位など

▼他の執筆記事

【Kamioka執筆ここから】

■奥谷さま推薦のギア類

今回、デッドリフト200kgの壁を突破するために、ご推薦いただいたギア類は下記のリンク先からご確認・入手が可能です。

■デッドリフトにおすすめのグッズ類

▼トレーニングベルトなら

▼リストストラップ&パワーグリップ

■武器屋.netのギア類紹介

今回ご執筆頂いた奥谷さまが運営する、オリジナルブランド「鬼シリーズ」をはじめとした、パワーリフティング・ベンチプレス日本代表級選手にも愛用者の多い「武器屋.net」のトレーニングギア類はこちらでご紹介しています。

▼関連記事

■デッドリフトの基本情報

ここからは、デッドリフトに関する、幅広く一般的な基礎情報をご紹介していきます。

まずは、デッドリフトと名のつくトレーニング種目を動画つきで解説します。

●ダンベルデッドリフト

ダンベルを用いて行うデッドリフトが、ダンベルデッドリフトです。高重量で行うのには向きませんが、バーベルと違いシャフトが脛や膝に干渉しにくいので、さまざまな角度で効かせる部位を変えてトレーニングすることが可能です。

●ワイドスタンスデッドリフト

別名スモウデッドリフトとも呼ばれるのがワイドスタンスデッドリフトです。上半身の引く筋肉群だけでなく、下半身にも効果的で、ほぼ全身の筋肉を使うため挙上記録を狙うのにも適したやり方です。

●ナロースタンスデッドリフト

別名ルーマニアンデッドリフトやヨーロピアンデッドリフトと呼ばれるのがナロースタンスデッドリフトです。上半身に比重がかかるため、背筋の筋トレとしては、ワイドスタンスよりも効果的です。

●スティッフレッグドデッドリフト

軽めの重量で、膝をあまり曲げずに行うトレーニング用のデッドリフトフォームで、太もも裏側のハムストリングスや臀筋群を鍛えるのに適しています。

●ハーフ(パーシャル)デッドリフト

ハーフデッドリフトとも呼ばれる、中間位置からの反復を行うデッドリフトがパーシャルデッドリフトです。腰に負担をかけずに、上背部を高負荷で鍛えられるというメリットがあります。

●スミスマシンデッドリフト

スミスマシンで行うデッドリフトは、軌道のブレをマシンが支えてくれるので、バーベルデッドリフトよりも高重量でトレーニングできるというメリットがあります。

反面、軌道のずれは逃げ場なく、全て身体に帰ってきますので、軽い重量でニュートラルスパイン・ヒップヒンジ・スラックがきちんととれるように練習してから、高重量でのトレーニングを行うことをおすすめします。

●デッドリフトの平均値

デッドリフトは、国や自治体の体力測定の種目ではなく、また、行ったことがある人自体が少ないので、厳密な平均値は存在しませんが、トレーニング業界の常識では、おおよその目安として、初心者は自身の体重程度を挙上可能です(女性はその60~70%)。

また、もう一つの指標としては、ほぼ挙上技術のない場合、デッドリフトの重量は背筋力のおよそ半分です。

なお、国の体力測定から算出された、日本人の平均背筋力は以下の通りになります。

18~25歳:男性140~145kg・女性80~85kg
26~40歳:男性135~140kg・女性80~85kg
41~45歳:男性125~130kg・女性75~80kg
46~50歳:男性115~120kg・女性65~70kg

この数値から推測するとデッドリフト経験のない場合、男性で60~70kg、女性で35~40kgあたりが平均値であると言えるでしょう。

●デッドリフトのIPF世界記録

デッドリフトの世界記録や日本記録はIPF(世界パワーリフティング協会)の公式ルール・公式戦のものが厳密には記録になります。その数値は男性で世界記録420.0kg、日本記録302.5kgです(2018年2月時点)。

最新の世界記録情報に関しては、下記のページをご参照ください。

世界パワーリフティング協会世界記録ページ

●デッドリフトの非公認世界記録

なお、IPF公式ルール以外でのデッドリフト記録は500kgですが、ウエイトがタイヤ状のものであったり、リストストラップも使用可能なので、IPF公式ルールとは挙上距離や条件が大きく異なります。

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